食中毒の予防
食中毒を引き起こす細菌やウイルスは私たちの生活のいたる所に存在しています。それらの原因菌をいかに体内に取り込まないようにするかが食中毒予防のポイントです。
食中毒を予防するための三原則は、原因菌を 「1.つけない」「2.増やさない」「3.やっつける」ことです。
以下それぞれ詳しく解説いたします。
1.つけない
手洗い
これはみなさんご存知の予防法かと思います。
調理の前後はもちろん入念に、特に食材に触れる前にはこまめに手洗いすることが大切です。
途中でお手洗いに行った後やペットに触れた後、おむつを替えた後、鼻をかんだ後も同様です。最近ではスマホやタブレットでレシピを見ながらお料理されることも多いかと思いますが、その場合も必ず手を洗いましょう。
調理器具の使い分け
例えば、まな板や包丁を「野菜用」・「肉、魚、卵用」と使い分けていますか?
調理の順番も大切で、生野菜のサラダを仕上げてから肉や魚料理に移ると、感染のリスクを減らせます。
ビニール袋のストック
してしまいがちなのがスーパーのビニール袋をストックし、再利用することです。
肉や魚のドリップはもちろん危険ですが、野菜にも細菌や微生物がたくさん付着しているので、生鮮食品の入っていたビニール袋の再利用は避けましょう。
2.増やさない
要冷蔵・要冷凍はなるべくすぐにしまう
生鮮食品を買ったらなるべく早く帰宅し、要冷蔵・要冷凍のものはすぐにしまいましょう。庫内も入るだけぎゅうぎゅうに詰めてしまうと冷気の通り道が無くなり全体を冷やすことができないので、7割程度までに抑えるのが望ましいです。
料理を室温で放置しない
鍋に一晩放置したカレーやチャーハンなど、室温で長時間放置した料理は食中毒菌が増殖しやすいです。余った料理は小分けにし早めに冷ましてから冷蔵庫で保存しなるべく早めに食べ切りましょう。
少しでも匂いが怪しいなど不安に感じた際は、思い切って捨ててしまう勇気も必要です。
食器を長時間つけ置きしない
してしまいがちなのが、使い終わった食器の長時間の浸け置きです。朝ごはんの食器を水に浸け、「帰ってきたら洗おう」と放置してしまうことはありませんか?これでは糖分やアミノ酸などをエサに食中毒菌が増えやすい環境になってしまいます。
「衛生微生物研究センター」が行った実験によると、浸け始めには数個しかいなかった細菌が10時間後にはブドウ球菌や大腸菌の一種を中心に、なんと約7万倍に増殖。これは排水溝内の細菌数に匹敵します。また、洗剤とスポンジ洗いでも1000分の1程度までしか減らなかったという結果でした。ただし、浸けてすぐさま増えるのではなく約2時間後から盛んに増殖し始めるので、浸け置きは1~2時間以内に留めましょう。
3.やっつける
十分な加熱
食中毒菌がいたとしても、中心温度を75℃以上・1分以上の加熱でほとんどの原因菌は死滅します。ただし、牡蠣など二枚貝に生息するノロウイルスはさらに温度の高い85℃以上・1分以上です。
調理器具・手指の消毒
料理を温めなおす際にもこの温度を守っていただくことが大切です。また、アルコール除菌スプレーや薬用ハンドソープを常備し、気付いたときに調理器具や調理台を拭いたり、手洗いしたりできるようにしておきましょう。
「梅雨」は食中毒に要注意!
食中毒には「ウイルス性」「細菌性」「自然毒」がありますが、そのうち細菌性食中毒の被害が最も多くなるのが6~7月の梅雨から夏にかけてです。
気温が上がり体の免疫力が落ちているときには、本来なら胃で殺菌されるはずの菌が生きたまま取り込まれ、食中毒を引き起こしてしまうことがあります。
以下、食中毒の代表的な「1.細菌性」「2.ウィルス性」「3.自然毒」について解説します。
1.細菌性食中毒(大感染性胃腸炎)の原因細菌
カンピロバクター
感染源:主に生または加熱不十分な鶏肉から
潜伏期間:2-5日
症状:38度以上の発熱、下痢、腹痛、血便
サルモネラ
感染源:卵、食肉から
潜伏期間:6-72時間
症状:発熱、下痢、腹痛
腸炎ビブリオ
感染源:生の魚介
潜伏期間:6-20時間
症状:6-20時間
腸管病原性大腸菌
大腸菌は人や家畜の腸管に存在し通常病原性はないが、人に対し病原性を持つものもある。
症状:激しい下痢、激しい腹痛、血便
2.ウィルス性食中毒
ノロウィルス
感染源:汚染された二枚貝(11-3月に多い)
症状:嘔吐、下痢、腹痛、発熱
※アルコールに耐性あり、次亜塩素酸ナトリウムで消毒
3.自然毒
ふぐ毒
テトロドトキシンによる運動神経障害、呼吸障害
貝毒
麻痺、下痢
キノコ毒
麻痺
※自然毒は重症化しやすい